静岡家族問題研究会2007年4月例会
静岡家族問題研究会の4月例会は次の通り行われました:
テーマ:家族の絆をつくる家
報告者:外山知徳氏(元・静岡大学教授)
日 時:2007年4月14日(土)
17:00〜21:00
会 場:B-nest小会議室
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3月に定年退職した報告者の最終講義ということで、会員以外の一般の方にも参加を呼びかけて行われた。
プロフィル
大学で建築学を学んだ後、大学院に進学して一級建築士、そして建築設計方法論と記号論の研究により工学博士号を取得、研究室があった東京大学生産技術研究所の助手にそのまま就き、ドイツ、アメリカの留学を経て静岡大学教育学部に助教授として赴任。静岡大学に来て間もなく静岡家族問題研究会に顔を出したのがきっかけで、登校拒否と住まいの関係の研究をすることになる。この研究がもとでPTAや教育委員会から子育て講座、教育講話を頼まれるようになり、1991年からは家庭裁判所の家事調停委員も務めることにもなった。
理 論
1.家族空間病理学
「家族空間」という用語は家族問題研究会の中で生まれた、「家族の人間関係を含んだ生活空間」のことである。住まい方を含む住空間のあり方は、家族の人間関係についての情報の媒体としてはたらく。つまり住空間の病理はそこに住む家族関係の病理と対をなし、そこに住む家族成員の精神病理に反映される。それが顕在化したのが登校拒否であり、家庭内暴力であり、時には高齢者の自殺や離婚でさえも、その一つである場合もある。
病理が分かればその治癒のための処方も当然分かるはずである。人は誰しも変わることは難しい。しかし住まい方なら比較的容易に変えることができる。住まい方が変われば家族の人間関係が変わり、結果として学校に行けるようになったり、離婚や自殺を思いとどまることにもなる。
2.テリトリー形成力の発達モデル
テリトリーを自分で確保できない子が登校拒否に陥る。そこで私は登校拒否児の行動や、主にわが子の成長の観察をもとに、テリトリー形成力の発達モデルを構築した。このモデルをもってすれば、子ども部屋の与え方はもとより、なぜ登校拒否になるのか、登校拒否にしない子育てとは?、若年離婚はなぜ起きるのか、といったことが明らかになる。
また、例えば登校拒否児を住まい方を変えることによって登校できるようにするにはどうすれば良いのかといったことについては、記号論の適用が有効となる。つまり住空間や住まい方を記号とし、家族の人間関係をその記号の対象とし、登校拒否を解釈志向とする記号過程を見出し、住まい方の何がどういう情報を媒介してその登校拒否が生じているのかを明らかにすれば、それを打ち消す情報を伝える住まい方がすなわち登校拒否解消の処方となる。
家族問題の現状をどうとらえるか
テリトリー形成力の発達モデルに従えば、現代社会の少子化とIT化、さらにはネット社会が今日の家族問題の底流にあるといわざるを得ない。子育て、不登校、児童虐待、DVなど、制度や組織の手に余る現実を前にして今われわれがすべきことは、具体的、事例的な活動なのではないか。
[参 照:外山知徳『家族の絆をつくる家—失敗しない住まいづくりのための30講』(平凡社、2007.3.16刊)]
討 論
・住まい方の病理は家族関係の病理の記号すなわち「表れ」であるという関係について。
・結婚や家族に求められるテリトリーの「核」の意味をめぐって。
・テリトリーとしての居場所について。
・テリトリー形成力の発達から見た理想的な家族空間のポイントについて。
参加者:会員10名—石光和雅・大嶋千鶴子・小川裕子・外山知徳・永井鉄朗・山脇貞司・奈良修三・冬木春子・渡辺浩子・渡邉保博;一般参加者6名—小川正光・河西恵理子・河西滋・長島聡子・久岡雄介・深澤章子
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