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2008年5月24日 (土)

静岡家族問題研究会2008年6月例会

 静岡家族問題研究会の6月例会を次の通り行いました。

 テーマ:デンマークにおける高齢者住宅の最新事情
 報告者:小川正光氏(愛知教育大学)
 日 時:2008年6月20日(金)
          18:30〜21:00
 場 所:静岡県総合社会福祉会館2階 会議室
  ◇
 2007年11月にデンマークを回って調査した高齢者住宅について、紹介があった。
 デンマークの高齢者住宅は、1987年の「高齢者住宅法」制定に始まる。この法律は1997年以降、「公営住宅法」の中に包含されたが、1戸当たりの住戸面積の上限は67平方メートルと変更はない。この法律以降、高齢者は、たとえ要介護状態になっても、理念的には住宅に居住し、住宅でサービスを受けることになっている。以下、順に概要をまとめる。

1.Se1mersboアクティビティセンター
・職員計8名
・食堂:1日30−35名が利用。予約の必要はない。地域の高齢者ではない人も利用。
・作業室:高齢者が自分達で企画して進め(当時はクリスマスの飾り付け(バザーの売り物)を作成中)、会場として借りている。
・美容・足のマッサージ室
・高齢者住宅は1LDK(約65㎡)15戸。

2.Sophielund
・アクティビティセンター(食堂、図書室、作業室)を中心に、高齢者住宅と介護型住宅が時間を追って供給されている。
・高齢者住宅は、単身者用1LDK(約67㎡)、夫婦用2LDK(約80㎡)。日中はホームヘルパーが各種サービスを提供。夜間は夜間サービスに依る。
・介護型住宅は、8、9戸で構成されるグループホームが7棟あり、出入り口のドアは閉められている。各戸1LDK(約42㎡)で、中央に共用のリビングルームがある。職員は各棟に、昼間は3名。深夜は2名で3棟を受け持っている。

3.De Gamles By(18世紀中頃から)
・元もと大規模な老人ホームの医療専用棟として、1960年代に建設された建物を8年前に改築(介護型住宅?)。
・地下にはアクティビティルームがある。他と比較すると、ビデオ鑑賞など静的な活動が多い。
・住戸は1LDK(約40㎡)80戸。
・職員は各ユニットに(9または11戸)3人。夜間は3人で80戸を担当する。

4.Nybodergarden
・1977年に特別養護老人ホーム(プライエム)として建設された。規模が小さいため改修計画は無い。
・1LDK(約24㎡)54戸。27名ずつのユニットとする。職員は12名。

5.Mariendalszej14・18(高齢者コ・ハウジング)
・法律家やエコノミストの協会が建設。家賃が相場の4倍にも達しており、高すぎて不人気。共同の食事など、週1回ほど、入居者のうちで気が合う人が集まっている。共同のキッチンやプールなどがある。

6.Midgaardsgruppen(高冷者コ・ハウジング)
・1987年、9名の女性が建設。これによって高齢者コ・ハウジングの制度が出来た。公営住宅の一部を使っている。住戸は1LDK(約54㎡)。入居者は週1、2回食事を共にしている。

7.ある市の高齢者福祉、医療の概要と、夜間訪問介護に同行した際の様子など。

出席者:小沢映子(富士市市会議員)、永井鉄朗・富樫憲央・久岡雄介(静岡家庭裁判所)、林 幸子(保護司)、奈良修三(特養施設長)、大塚佐枝美(静岡家裁調停委員)、外山知徳・山脇貞司(静岡大学名誉教授)、冬木春子・小川裕子(静岡大学教育学部) 文責:小川裕子

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静岡家族問題研究会2008年5月例会

 静岡家族問題研究会の5月例会を次の通り行いました。

 テーマ:保育現場における自閉症児の支援について
     —家族支援の視点から—
 報告者:名倉一美氏(こぐま保育園臨時職員・日本福祉大研究生)
 日 時:2008年5月16日(金)
          18:30〜21:00
 場 所:静岡県総合社会福祉会館2階 会議室
  ◇
1.はじめに
 現在、自閉症児の抱える重大な問題に、二次障害がある。彼らは障害によって快適な対人関係を築き難く、社会参加が難しくなる。しかし自閉症児でも、他者と豊かな情動的交流経験をすることで愛着形成をすることができ、障害に関係なく快適な対人関係を築くことが可能である。現在、多くの自閉症児が保育現場で集団生活を送っており、保育者は彼らにどのような保育を行ったらよいか日々模索している。しかし、現在の自閉症児に対する支援は、主に療育ルームで専門家が行うものが一般的である。それでは、保育現場ならではの自閉症児の支援とはどのようなものだろうか。ところで保育とは対人関係発達の土台を育てることが基本的な目標となっている。そのため、あり方次第では保育そのものが自閉症児の愛着形成の発達を促す情動的交流支援になりうるのではないだろうか。そこで本研究では、障害児保育に力を入れているK保育園にて、ある自閉症児A児に情動的交流支援をい、愛着形成の発達過程を観察し、どのような保育を行うことが自閉症児の対人関係の発達支援になりうるかを具体的に探った。

2.研究方法
 関与観察及びエピソード記録分析
・観察場所:S市立K保育園
・観察期間:平成××年4月〜10月(計38回)
・観察頻度:基本的に遇に2回
・親察時間:午前9時から午睡前までの約4時間
・A児:4月当時4歳9ケ月 男 自閉症 4歳児クラス在籍 担当保育者がついている

3.結果及び結論
Ⅰ.情動的交流遊びの発展と大人との愛着形成
 A児は当初、常に一人でふらふらと動き回っており、興味や関心をつかむのが難しかった。まずは観察者がA児の要求に合わせ、不快感によるパニックを引き起こさないよう関わることが重要だった。しかし重要なのは、A児のわずかな興味・関心から好きな遊びを丁寧につかみ、そこから情動的交流遊びへとつなげる観察者からの関わりであった。好きな遊びからつなげることで、A児に不快感を与えず、自然に情動的交涜を促すことができ、A児の笑顔やA児から観察者への情動的な要求が増えて、観察者を「特定の好きな人」と認識する愛着形成が促されていった。ところで今回の観察中、A児にとって観察者が特定の愛着対象となっているかどうかは観察者の主観による部分が大きく判断が難しい場面も存在した。しかし大人の勘違いであっても、自分が「特定の好きな人」なのだと大人が感じることで養護性が引き出され、情動的な関わりが増えたということに、重要な意味があると考える。

Ⅱ.情動的交流遊びの分析
 今回の観察結果から、身体的な揺さぶりのある遊びは大人と情動を交流しやすく、こうした遊びをたっぷり行うことが、自閉症児の他者との情動的交流を促すのに有効であるとわかった。反対に、モノを使う遊びでは、自閉症児は人よりモノへの関わりに没頭しやすい特徴があり、本観察でA児もそのような姿がみられた。一方モノを使った見立て遊びでは、A児と観察者との言葉のやりとりが生まれ始めたが、こうした姿がみられたのは、見立て遊びのみの観察者との関わりによってだけではなく、身体的な揺さぶり遊びによる情動的交流経験の積み重ねにより、A児と観察者との間に愛着が形成され始めていたからと思われる。

Ⅲ.他児との情動的交流遊びを探る
 本観察にて、A児が観察者と愛着を形成したことにより、観察者をよりどころに他児との情動的交流が生まれる場面が見られた。今後、A児の対人関係の発達が促されるにつれて、ますます他児との関わりが増え、さらに大人の仲介が必要となる場面も増えるだろう。そうした仲介を適切に行うためには、今後はA児だけでなく、A児をとりまく他児一人ひとりの理解や、他の保育者との連携もより重要になってくると考える。そうした保育者連携を通した、自閉症児と他児との情動的交流遊び場面を探ることが、今後の課題であるといえるだろう。

4.家族支援の視点からの考察
 本研究の観察中、A児の母親と何度か会話をすることがあり、人に関心を持ちにくい自閉症児の養育をすることは、養育者にとって精神的負担が大きく、それを一人で抱えてしまう危険があるといった様子がうかがえた。観察者が「Aちやん、とってもかわいいです。」と伝えた時、「こんなに反応の少ない子なのに、そういってもらえると本当にうれしいです。」と言った母親の言葉が印象的だった。自閉症児にとって、自分でできることを多く身につけて社会性を促すことも重要ではあるが、他者から「かわいい」と思われる子、人が好きな子、困った時人から自然に手を差し伸べてもらえる社会性を身に付けることも、重要なのではないだろうか。今回の報告でもさまざまなご意見をいただき、あらためてそのことを感じた。こうした他者の養護性を引き出すような愛着形成の発達を促すことが、二次障害を防ぐ一つにつながり、自閉症児の家族支援の一つにつながるといえるのではないかと考える。

参加者(敬称略):小川裕子、冬本春子、山本早希子、小沢映子、青木かよ子、外山知徳、奈良恵子、山崎みよ子

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