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2008年8月 4日 (月)

静岡家族問題研究会2008年7月例会

 静岡家族問題研究会の7月例会を次の通り行いました。

 テーマ:非行少年雑詠—老調査官の迷い言—
 報告者:永井鉄朗氏(静岡家庭裁判所調査官)
 日 時:2008年7月25日(金)18:30〜21:00
 場 所:静岡県総合社会福祉会館2階 会議室

報 告:
1.「日本の犯罪状況一犯罪統計を読み解く」河合幹雄(平成20年『ケース研究』295号)
 非行・犯罪の増加、凶夢化が懸念される向きもあるが、果たして実情はどうかという視点から、社会学者が一石を投じた論文である。刑法犯の認知件数は上昇しているが、殺人による死亡被害者数は減少一定している。認知件数と検挙率が捜査の方針や体制と関係がある等を指摘して、統計は素朴な自然現象の記述ではないとする。若干乱暴な展開もあるが、犯罪統計を見極める上で参考になる。
2.「少年たちはなぜ人を殺すのか」キャロル・アン・デイビス著(平成20年、文春新書)
 殺人を犯した英米の少年の事例が20例程紹介されている。殺人の背後に家庭の劣悪さと過酷な虐待(暴力、ネグレクト)が潜んでいる。特に性的虐待が多く見受けられ、思春期になって攻撃・性衝動が高じて爆発する。殺人者の性的オルガスムに触れた内容は、殺人の機微に触れる思いがした。
3.PTSD(天竜病院稲垣医師)
 トラウマとは、生命や身体の統合性が脅かされる出来事に際して、激しい恐怖、無力感、戦慄を感じること。通常の処理能力を超える場合、外傷的記憶が心の中にできる。例えば,豚肉300グラムをもらったら、すぐ炒めて食べるが、3キロもらったら処理できないので冷凍しようとする仕組みと同じである。症状としては、再体験、回避・麻痺、過覚醒・不眠・集中困難がある。外部と自分を切り離すのが回避で、心と自分を切り離す(感じることを)のが麻痺である。
4.「非行と虐待体験一非行の背景としての児童虐待」藤岡淳子論文(「臨床心理学」)
 被虐得体験に際して、子どもは逃げる術がなく、当面家庭に居る他はなく、トラウマを抱えることになる。非行は、自分が傷付くのではなく、人を傷付けるという不適切で誤った選択と行動の結果である。発達に伴い、感情調整のまずさ、自己破壊的行動、(辛い体験を)健忘・解離、(言語化が苦手なので)身体・行動化が起こり、トラウマが反復強迫して人格面に内在化する。
5.詩歌紹介
 坂村真民、相田みつを、少年院収容中の少年の歌をいくつか紹介した。

<参加者>(敬称略)
 青木かよ子、大塚佐枝美、小川裕子、佐々木光郎、外山知徳、冬木春子、林幸子、山本早希子、山脇貞司

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